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2024
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【連載】ライフイベント×お金
千葉県のお財布事情 
第3回:子育て

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新しい命が誕生することは、夫婦にとっても周囲にとっても非常に喜ばしいライフイベントの1つです。幸せを噛みしめつつ、同時にしっかり考えておきたいのが、子育てにまつわる費用のこと。この記事では、子育てにはどのくらいのお金が必要なのか、子育てに奮闘する千葉県民がもらえるお金や助成はあるのかなど、気になるお財布事情を解説します。また、「子育てしやすい県」として知られる千葉県の子育て支援について、千葉県松戸市を例にご紹介します。

子どもを産んで育てるのは大仕事です。お母さんとお子さんの健康を第一に、出産・子育てを無事に乗り切るためにはどのような費用がかかるのでしょうか。また、それらの費用をまかなう助成制度についてもご紹介します。

出産にかかる主な費用

  • 妊婦検診(妊婦一般健康診査)費用
  • 出産費用
  • マタニティ用品/ベビー用品の準備費用

妊婦健診は、妊娠初期から出産までに14回程度行うことが推奨されています。地域や医療機関、ご自身の状態により異なりますが、1回の検診で3000〜7000円ほど、特別な検査を受ける場合は1回につき1〜2万円ほどかかることも。妊娠・出産は基本的に公的保険の対象外となり、全額自己負担です。地域や医療機関、ご自身の状態によって異なりますが、交通費なども含めて数万円〜数十万円の出費を想定しておく必要があるでしょう。ただし、後述する妊婦健康診査費用補助券を使うことで、負担額を軽減することができます。

また、厚生労働省が公表した資料によれば、令和4年度の出産費用の平均額は48万2294円(正常分娩のみ、室料差額を除く)です。出産費用は地域や医療機関(総合病院・クリニックなど)、出産方法(普通分娩・無痛分娩)によって異なり、たとえば無痛分娩を選ぶ場合、普通分娩費用に10〜20万円ほどの費用が上乗せされます。そのほか、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群になった場合や、帝王切開分娩になった場合の手術費など、さらに出費がかさむことも。

さらに、赤ちゃんのためのベビー用品、お母さんのためのマタニティ用品も必要になります。ベビーグッズなどは商品によって価格差があり、一概には言えませんが、ベビーベッドや寝具類、チャイルドシートなどを含めると約10〜20万円、場合によってはそれ以上かかることもあるようです。安心して出産に臨めるよう、慌てないように計画的に備えておきたいものです。

参考:

厚生労働省「出産費用の見える化等について」(PDF)

出産でもらえるお金・助成

妊婦健診費用の補助

妊婦健診費用の一部が市町村によって助成される制度があります。妊娠の判定を受けて妊娠届を提出すると、母子健康手帳が交付されます。このとき、妊婦健診などの受診票が綴られた母子健康手帳別冊を受け取ることができ、妊婦1人あたり14回までの検診で使用できます(自治体によって回数が異なるケースがあります)。助成額は自治体によって異なりますが、目安として1回につき4000円〜1万円程度が助成されます。

出産手当金

勤務先で健康保険に加入している人が出産によって休業し、その間の給与支払がない場合に受け取れるのが出産手当金です。受け取れる金額は、本人の給与や休業期間によって異なりますので、お勤め先の担当者やご加入の健康保険組合にご確認ください。なお、扶養家族として健康保険に加入している人は対象外です。

出産育児一時金

健康保険や国民健康保険に加入している人が出産したときに、一律50万円(産科医療補償制度の対象とならない出産の場合は48.8万円)が支給されます。出産手当金とは異なり、被保険者だけでなく、被扶養者も支給の対象です。

高額療養費制度による給付

高額療養費とは、健康保険が適用される治療費(医療機関などの窓口で支払う金額)が自己負担限度額を超えた場合に支給される療養費のことです。通常の出産費用は対象外ですが、帝王切開やひどいつわり(重症妊娠悪阻)などで健康保険が適用される治療を受けたときは受給することができます。

出産・子育て応援給付金

自治体への妊娠届および出生届の提出後に、それぞれ5万円がクーポンなどで受け取れる制度です。2022年4月以降に生まれたお子さんが対象となり、受給には面談やアンケートへの回答が必要。お住まいの自治体によって内容が異なる場合があるので、詳しくは各市町村のホームページなどをご参照ください。

次に、子育てにかかる費用と助成制度についてみていきましょう。

子ども1人の教育費は、一般的に、幼稚園から大学卒業まですべて国公立なら約800万円、すべて私立なら約2300万円かかるともいわれています。学習塾や予備校を利用する場合は、その費用も上乗せになります。子どもが複数の場合、当然ながらこうした費用は2倍、3倍となって家計にのしかかってきます。

また、教育費以外にも多くのお金がかかることも忘れてはなりません。内閣府による0歳〜中学校卒業までの子育て費用を調べたデータでは、子ども1人あたりの年間子育て費用は以下のようになっています。

  • 未就学児:104万3535円
  • 小学生 :115万3541円
  • 中学生 :155万5567円
  • 教育費を含む
出典:

内閣府「インターネットによる子育て費用に関する調査」

お食い初めや七五三などのイベント費用、衣類やおもちゃの費用、食費、通信費、レジャー費など、子育てにかかる費目は挙げたらきりがないほど。さらに、子どものための預貯金や保険にかかる費用も見逃せません。

お子さんにはできる限りのことをしてあげたいと思うのが親心です。出産・子育てに必要な費用を可視化し、いつまでにどのくらいのお金を用意しておけばよいのか、家族でよく検討しておきましょう。

育児中にもらえるお金・助成

育児休業給付金

勤務先で健康保険に加入している人が、1歳未満の子どもを育てるために育児休暇を取得し、その間の給与支払がない場合に給付を受けられます。条件により延長や分割取得も可能です。母親だけでなく、父親の育児休暇も対象となります。

育児休業給付金の給付額は、基本的に「休業したときの賃金額(日額)×支給日数×67%」で算出されます(育児休業の開始から181日目以降は50%)。ただし、休業中に80%以上の賃金が支払われている場合は支給されず、80%未満の場合でも支払われている額によって支給額が減額されます。

児童手当

中学生まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の子どもを育てる保護者が受け取れる手当です。12カ月分の手当が6月、10月、2月の年3回に分けて支給されます。なお、保護者の所得によっては児童手当が受け取れない場合があります。詳しくは、こども家庭庁「児童手当制度のご案内」、各自治体の案内などをご参照ください。

児童1人あたりの支給額(月額)

  • 3歳未満:1万5000円
  • 3歳以上小学校終了前:1万円(第3子以降は1万5000円)
  • 中学生:1万円

子ども医療費助成制度による給付

新生児から各自治体が定めた年齢までの子どもの医療費が助成される制度があります。健康保険が適用される治療や入院が対象となり、助成額や対象年齢は自治体によって異なります。

高等学校等就学支援金制度

私立・公立すべての高等学校、専修学校の高等課程などに在学している生徒を対象に、授業料相当の支援金を支給する制度です。高等学校などの授業料が実質無料となります。

受給には所得等の要件があり、たとえば両親のどちらかが働き、高校生(16歳以上)の子ども1人、中学生の子ども1人がいる世帯なら、世帯年収910万円未満である必要があります。要件は扶養家族などによって異なるため、詳しくは、文部科学省「高校生等への修学支援」などをご参照ください。

そのほかの助成

産休・育休中の社会保険料の免除

産前・産後休業や育児休業を取得する場合、所定の手続きを行えば社会保険料の支払いが免除されます。

国民年金保険料の免除

出産予定日・出産日の前月から4カ月間の国民年金保険料の支払いが、届出により免除されます。

「子育てがしやすい」「共働き家庭に優しい」といわれる千葉県。待機児童ゼロを実現した市も複数あり、共働き夫婦が子育てしやすいエリアとしても人気を集めています。

なかでも、千葉県の東葛地域(北西部)に位置する松戸市は、「共働き子育てしやすい街ランキング2023」(日経xwoman/日本経済新聞社)で3回目となる総合1位を獲得。「やさシティ、まつど。」をスローガンに、子育てしやすい街づくりを市の重要施策の1つとして位置づけており、全国的にも高い評価を得ています。

松戸市の魅力の1つは、都心から20km圏内というアクセスのよさ。JR常磐線をはじめとする鉄道と主要幹線道路である国道6号により交通の便が整っているため、通勤しやすいこともポイントです。さらに市内には自然を感じられるエリアが多く、子どもを連れて買い物やレジャーができるスポットも多数。子育てしやすさはもちろん、暮らしやすさにも力を入れているのです。

松戸市が取り組む子育て支援の一部をご紹介しましょう。

待機児童8年連続ゼロ(2023年4月時点の国の基準)への取り組み

待機児童とは、「保育施設に入所申請をしており、入所の条件を満たしているにも関わらず入所ができない状態にある子ども」(厚生労働省)のことを指します。松戸市は2023年4月時点で8年連続の待機児童ゼロを実現しており、働きながら子育てをする保護者にとって理想的な環境を維持しています。

市は、「0歳から2歳児までは手厚い保育が受けられる小規模保育施設(保育園)を利用し、卒園後は幼稚園へ」という戦略をとっています。幼稚園の預かり保育を拡充し、その保育料を助成するなど、働く保護者が子どもの年齢によって保育園と幼稚園を使い分けられるようにし、負担を減らしながら保育施設の不足を防いでいるのです。

市内全23駅の駅前・駅ナカに小規模保育施設を設置

通勤の途中で送り迎えができるよう、駅前や駅ナカに保育施設を設けている松戸市。2017年に、市内すべての駅に整備が完了しました。利用している保護者からは、「都内に通勤しているので通いやすくて助かっている」、「駅前や駅ナカにあるのですごく便利。親子でお気に入りです」といった声が上がり、働きながら子育てをする人々に喜ばれています。

送迎保育ステーションの設置

保育園を卒業し、幼稚園に通うようになると、通勤時間によっては送り迎えが難しい保護者も出てきます。松戸市内に10か所(2024年4月〜)設置された送迎保育ステーションは、朝7時以降に登園すれば、幼稚園の開園時間までの預かり保育とバスによる送迎、さらに閉園後、保護者のお迎えまでの預かり保育をしてくれる施設です。最寄り駅から徒歩5分圏内に設置されており、通勤途中の利用にも便利。コワーキングスペースを併設している拠点もあり、働き方に応じて活用することができます。

また、幼稚園の預かり保育がお休みの日などの一時預かりも可能。さらに新松戸駅前送迎保育ステーションでは、通院や買い物を理由にした一般利用(理由を問わず証明書等不要)もできるので、多くの保護者の強い味方となっています。

市の担当者は、「一時預かりのニーズは、就労だけでなく、急な用事で子どもの世話と両立できない場合や子育てに疲れてリフレッシュしたいときなどにも発生するはず。子育てを支援するには、多様なニーズに対応できる仕組みが必要だと考えています」と話します。

おやこDE広場/子育て支援センターの設置

市内各所に、0〜3歳くらいの乳幼児と保護者が交流できる「おやこDE広場」や「子育て支援センター」を設置しています。施設内には松戸市の子育て情報に詳しい「子育てコーディネーター」が在籍しているので、子育てで困ったことがあれば気軽に相談できるとか。

お子さんが生後1カ月の頃から通っているという利用者は、駅から近く、市内のあちこちにあること、助産師さんや栄養士さんと話せる日が設定されていること、対象年齢が3歳以下で、赤ちゃんでも比較的安心して行けることなどを挙げ、「今ではなくてはならない存在です」と言います。スタッフが親身になってくれたり、ママ友を作ってアドバイスをしあったりすることも、子育て中にはありがたい環境ですね。

そのほか、毎日18時から23時まで診察が受けられる夜間小児急病センターをはじめとする充実した小児医療体制、赤ちゃんに絵本をプレゼントしてくれるブックスタート事業、幼児期から中学校までの10年間、英語を使った教育を一貫して行う「まつど英語」の取り組みなど、子どもが健康に、イキイキと育つ環境を用意しているという松戸市。「今後も子育てに奮闘する両親、保護者に寄り添う施策を継続し、子育て世代を応援していきます」(担当者)。

監修:松戸市「まつどDE子育て」

お子さま用の口座を用意して、「出生体重貯金」してみませんか?

「出生体重貯金」を知っていますか? お子さんの誕生を機にお子さん名義の口座を作り、誕生日や出生体重と同じ金額を振り込んで記録を残すという方法です。たとえば2024年3月20日に、3200グラム、50センチで生まれたお子さんなら、「2024」円、「320」円、「3200」円、「50」円ずつ入金や送金をしておきます。ご両親の口座などから送金する際に、名義人を「YEAR」、「BIRTHDAY」などとしておけば、なんの数字なのかもわかりやすいですね。

ATMやインターネットバンキングをうまく活用し、思い出に残る出生体重貯金をしてみてはいかがでしょうか。

新しい家族とともに、千葉県での暮らしを楽しもう

妊娠出産や子育てには、ある程度まとまったお金が必要です。いつ、どんなお金が必要なのかを理解し、もらえるお金や助成制度をフル活用しながら、将来に備えて貯蓄や資産形成を考えていきましょう。出産を機に、お子さん用の口座を用意してコツコツ貯蓄・投資していくのもよいですね。

お金やライフプランについてわからないことがあれば、お近くの金融機関を頼るのもおすすめです。新しい家族と一緒に、千葉県での暮らしを充実させていきましょう。

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