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マイカーとカーシェア。
車を使うならどっちがいいの?
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ホームマイカーとカーシェア。車を使うならどっちがいいの?
「車に乗りたい」「車が必要」と思った時、検討できる選択肢が増えています。最初に思いつくのは「マイカーを購入する」かもしれませんが、車を所有しなくても必要な時だけ借りられるサービスが充実してきています。特にカーシェアリング(以下、カーシェア)は代表的なサービスでしょう。
この記事では、マイカーとカーシェアを比較して、「自分に合っているのがどちらなのか」を判断するポイントを解説します。
マイカー以外の3つの選択肢
「車を所有しなくても乗れるサービス」には、どのようなものがあるのか、それぞれどんな特徴があるのか見ていきましょう。主に以下のような種類があります。
カーシェア
カーシェアは、「車の共有」という意味の言葉です。利用したいカーシェアサービスに会員登録をしておくことで、カーシェアを提供している企業や個人が持っている車を必要な時に必要なだけ借りられるサービスです。
車に乗りたい時は専用サイトやアプリなどで日時や車を予約し、街中の駐車場の一角にある「ステーション」や個人宅で借りて、最後に利用時間などに応じて精算するのが一般的な流れです。
カーシェアは、15分単位など、ごく短い時間の利用が可能です。短時間の利用なら、レンタカーを借りるより安価に済ませられるでしょう。カーシェアでは月額基本料金が無料~1,000円程度(使用料金は別途)のサービスが多いです。
カーシェアは「たまにちょっと使いたい」のような比較的ライトユーザーな人や、できるだけ費用を抑えて車に乗りたい人に向いているといえるでしょう。
レンタカー
旅先などでレンタカーを利用した経験がある人は多いのではないでしょうか。レンタカーを提供する店舗に出向いて、6時間、24時間、1泊2日など、あらかじめ一定の利用時間が決められたプランから選んで車を借ります。レンタカー会社によっては借りた場所と違う場所で返す「乗り捨て」などにも対応しています。
サブスク
サブスク(サブスクリプション)は、「月額○○円」のように決められた利用料金を支払うことで、その期間(年単位が多い)であれば、特定の車をいつでも自由に利用できます。自宅の駐車場に置いておくこともできますし、乗るたびに毎回予約したり手続きしたりする必要はありません。月額料金は月1万円~3万円程度に設定されているケースが一般的です。
マイカーとカーシェアのメリットとデメリット
ここからは、マイカーとカーシェアを比較していきます。どちらにもメリットとデメリットがあります。それらを把握して、自分や家族にはどちらが合いそうかじっくりと考えてみましょう。
マイカー
メリット
マイカーのメリットは、いつでも気軽に自由に使えることです。当然ですが、予約も返却もありません。自分の所有物なので、荷物を車に置きっぱなしにしていても問題ありませんし、好きなようにパーツを追加したり改造したりすることもできます。
近年は、車を「家でも職場でもない第3の場所」と位置づけて、長時間過ごしたり、趣味や車中泊を楽しんだりするプライベート空間として使う人が増えているようです。こうした使い方を満喫できるのもマイカーならではといえるでしょう。見知らぬ他人と共有するわけではないので、衛生面でも安心です。
デメリット
マイカーのデメリットは、お金がかかることです。車の購入費用はもちろん、ガソリン代や自動車税、駐車場代、車検代、自動車保険などの維持費を支払っていくことになります。買う時も買ってからもコスト発生が避けられないことを理解しておきましょう。
カーシェア
メリット
カーシェアのメリットは、初期費用も維持費も抑えて車を利用できることです。入会費や月額料金が必要になる場合はありますが、それでも1,000円程度で済むことが多いです。「15分200円」など、短時間かつ少額の利用が可能です。
また、カーシェアなら車検やメンテナンスが不要です。「なるべく手間も時間もお金もかけたくないけど、車を時々、利用したい」という人には特にぴったりのサービスと言えるでしょう。
デメリット
複数人で車を共有することになるため、利用ルールをきちんと守る必要があります。マイカーのように自分仕様にカスタマイズできるわけではありませんので、車種・色・装備など車へのこだわりが強い人ほど利用したい車を見つけるのは難しいかもしれません。
カーシェアで車を借りるための「ステーション」と呼ばれる場所が、近くにない人も要注意です。「自宅から車までの移動が遠すぎて大変」ということになりかねませんので、あらかじめ最寄りのステーションがどこにあるのか確認しておくのがおすすめです。
また、カーシェアは予約制のため、当然のことながら他の利用者が予約していれば使えません。また、前の使用者が渋滞などに巻き込まれ、返却予定時間までに戻すことができなければ、こちらの予定が狂ってしまうことになりかねません。
マイカーとカーシェアの費用を比較
「マイカーとカーシェア、メリットもデメリットもわかったけど、結局、どちらが得なの?」と疑問に思う人はいるでしょう。どちらにするか考えるうえで「お金」がポイントになります。
ここでは、マイカーやカーシェアにはどんな費用がいくらくらいかかるのか、どれくらい差が出るものなのか具体的に見ていきましょう。
マイカー
費用の種類
マイカーにかかる費用には、以下のようなものがあります。
- 車の購入費用:車両本体、装備、オプションなど
- 初期費用:車両登録費用、車庫証明費用、リサイクル料金など
- 税金:自動車税、自動車重量税など
- 保険料:自賠責保険、自動車保険(任意保険)
- 駐車場代
- ガソリン代
- マイカーローンの返済利息(ローンで購入した場合)
- メンテナンス費:車検代、修理代、洗車費用など
こうして見ると、マイカーにはさまざまな費用がかかることがわかります。車の購入費用だけに注目しがちですが、購入後の維持費もきちんと考慮して資金計画を練っておく必要があります。
費用の目安
コンパクトカーやミニバンといった、一般的な普通車(新車)の購入費用は150万円~300万円でしょう。購入する時は、車両価格の10%~20%の諸費用(税金や車両登録費用など)がかかりますので、それも計算に入れておきましょう。
車の年間維持費は、日本自動車工業会が行った「2021年度乗用車市場動向調査」によると「10万円超~30万円以下」という人が半数以上でした。
年間負担額
200万円の新車を購入し、3年後に150万円で売却した場合
- 購入費:200万円
- 諸費用:20万円
- 年間維持費:20万円
200万円+20万円+20万円×3年-150万円=130万円
売却額を引くと、3年間でかかる金額は130万円となります。
1年間あたりにかかる金額は、約43.3万円となります。
130万円÷3年=43.333333……
カーシェア
費用の種類
続いて、カーシェアにかかる費用も見ていきましょう。どのカーシェアサービスを利用するかによって変わりますが、以下のような費用がかかります。
- 初期費用:入会金、登録手数料など
- 月額料金:利用が多くても少なくても毎月定額でかかる費用
- 時間料金:車を借りた時間の長さに応じてかかる費用
- 距離料金:車を借りて運転した距離に応じてかかる費用
費用の目安
前述のとおり、カーシェアはマイカーより費用を抑えやすい点がメリットです。車に乗らない月は、無料~1,000円前後の月額料金の支払いだけで済ませることが可能です。
実際に車を借りたら、月額料金とは別に、その時間や距離に応じた利用料金がかかります。利用料金には、ガソリン代や保険料などが含まれている場合が多いのが特徴です。「15分につき200円~400円」といった料金体系が主流ですが、「6時間パック」「距離料金」「平日料金」などの設定があることも。
また、カーシェアを初めて利用する時は、入会金などで1,000円~2,000円前後の初期費用がかかることがあります。
年間負担額
新車価格200万円の車を、その都度、カーシェアで借りた場合
- 初期費用:無料
- 月額料金:1,000円
- 時間料金:15分200円
カーシェアの場合、どれくらい利用するかによって費用が大きく変わってきます。
マイカーとカーシェア、年間負担額の比較
以下の表でマイカーとカーシェアの年間負担額を比較してみましょう。例として、毎週末、カーシェアを利用する想定で計算してみました。
▼マイカーの年間負担額とカーシェアの年間負担額
マイカーの 年間負担額 |
カーシェアの年間負担額 | |
---|---|---|
43.3万円 | 毎週1時間 利用 |
約5.4万円 |
毎週5時間 利用 |
約22万円 | |
毎週10時間 利用 |
約42.8万円 |
- ※カーシェアでは、基本料金が使用料金に含まれないと仮定
- ※カーシェアでは、パック料金などのサービスは考慮していない
この例では、カーシェアを「毎週末に10時間利用」した時の年間負担額が「42.8万円」で、マイカーの年間負担額の「43.3万円」に近い金額になりました。これを目安に、それより多く利用しそうならマイカー、少なそうならカーシェアのほうが得だと考えられます。
駐車スペースがあるマイホームを持っていて駐車場代はかからないケースや、カーシェアには割安なパック料金システムがあるため、人によってケースはまちまちでしょう。上の表はあくまで一例ですから、乗りたい車の価格などを踏まえて「我が家の場合はどっちを選んだほうが安く抑えられそうかな?」と考えてみましょう。
マイカーか? カーシェアか? 迷った時の判断基準
マイカーとカーシェア、どちらにするか迷ったら以下のポイントについて考えてみましょう。
車の利用目的
そもそも、どんな時に車を利用するのでしょうか。もし「趣味のキャンプに行くため」とか「毎週末、家族でいろいろなところに遊びに行く」とかだったら、多少汚しても気にならず、荷物も積みっぱなしにできて、思い立った時にすぐに使えるマイカーのほうが便利でしょう。
「普段は使わないけれど、たまに友人や恋人を乗せて遊びに行く」だったら、必要な時だけ利用できてかっこいい車をセレクトできるカーシェアのほうが向いている、という考え方もできるでしょう。
車の使用頻度
頻繁に車に乗る人ほど、マイカーの方が得になる可能性があります。仮に車を買ったとして、1週間に何回くらい乗りそうか具体的にイメージしてみましょう。上の表を参考にすると、「毎週末10時間利用」がカーシェアではなくマイカーを選択する基準になるかもしれません。
車へのこだわり
車にこだわりがある人ほど、そのこだわりを存分に貫けるマイカーが魅力的に見えるのではないでしょうか。カーシェア派が避けたがる、手間がかかるメンテナンスも、車好きなら趣味の1つとして楽しめるかもしれません。
逆に、車にそこまでこだわりがなく「毎回、違う車に乗れたほうが新鮮で楽しい」と感じる人はカーシェア向きかもしれません。
カーシェアが利用できる環境か
カーシェアは、借りられる場所が近くにないと一気に不便になります。自宅や職場の近くで借りられそうか確認してみましょう。「地名+カーシェア+ステーション」で検索すると、簡単に調べられます。
費用が気になるなら「マイカーローン」という選択肢も
「マイカーにしたいけど、費用面で悩んでいる」という人もいるでしょう。新車では、百万円を超える購入費を一括で支払うことに不安を感じる人はいるかもしれません。そんな時に役立つのが「マイカーローン(自動車ローン)」です。
マイカーローンの概要と特徴
マイカーローンはその名の通り、マイカーにかかる費用を借りるためのローンです。マイカーローンの内容は金融機関ごとに違いますが、京葉銀行では以下のようになっており、Webからも申し込みできます。
京葉銀行のマイカーローン | |
---|---|
何に使える? | 車・バイク・船艇などの購入資金、車検費用、修理費用、運転免許取得費用、他社の自動車ローンの借り換え、など |
どんな人が 利用できる? |
|
どうやって 借りる? |
Web、FAX、京葉銀行の店頭窓口のいずれかで申込手続きをする |
京葉銀行のマイカーローンは、車の購入費用だけでなく車検や修理にも使えます。Webで申し込むと金利が低くなる特典があります。車種がまだ決まっておらず、正確な金額が分からない状態でも申し込むことが可能です。
ディーラーローンや残価設定型ローンとの違い
車を購入する時のローンには、銀行などが提供しているローン以外にも、ディーラーが提供している「ディーラーローン」や「残価設定型ローン」があります。
「ディーラーローン」は、銀行のローンの比べて借りやすい(審査に通過しやすい)一方、金利が高めに設定されている傾向があります。また、ローンの返済が終わるまでは車が自分の物にならない(所有権がディーラーにある)点に要注意です。
残価設定ローンは「残クレ」とも呼ばれています。いずれ車を下取りに出すことを想定して、その下取り価格を差し引いた金額分のローンを組みます。ローンを組む金額が少ないため、毎月の返済額は少なくて済みますが、金利は銀行のローンより高いことが多く、車の利用状況によっては追加費用が発生する可能性があります。
マイカーローンの選び方
マイカーローンを選ぶ時は、次のような項目を比較して検討してみるのがおすすめです。
- 金利の低さ
- 申込みや手続きの手軽さ
- 借りたお金の使い道の幅広さ
- 車の所有権が自分にあるか
マイカーローンをうまく使えば、少ない負担で憧れのマイカーライフを手に入れることができます。「家計が厳しいからマイカーは無理だ……」とあきらめてしまう前に、一度、検討してみることをおすすめします。
使用目的を踏まえて、比較検討を
自分の車を所有する「マイカー」、必要な時だけ借りる「カーシェア」、それぞれにメリットとデメリットがあります。どちらにすべきか、どちらが得かは、乗りたい車・乗る頻度・利用する目的などによって変わるため、一概にはいえません。
「使用目的で考えるとマイカーが欲しいけれど、費用が気になって決断できない」という場合は、マイカーローンを利用するという選択肢があります。自分の使用目的を踏まえて、じっくりと比較検討してみましょう。
著者:馬場 愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表。
関西学院大学商学部を卒業後、銀行にて金融商品を扱う窓口営業に従事。その後、保険代理店や不動産会社などでの勤務を経て、独立。自身が過去に金銭的に苦労したことから、むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐして伝えるべく活動中。お金にまつわる解説記事の執筆や監修を数多く手掛けている。保有資格:AFP、証券外務員一種、秘書検定1級など。
事務所公式サイト:https://babaeri.com/
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