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物価が高くなるのはなぜ?
インフレの仕組みと
投資市場への影響
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ホーム物価が高くなるのはなぜ?インフレの仕組みと投資市場への影響
ニュースで耳にする「インフレ」という経済用語。なんとなく知っているつもりでも「インフレが発生すると普段の暮らしはどう変わるの?」と聞かれると、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。この記事ではインフレの基本的な知識と、それによる生活や投資への影響を解説します。
インフレの基礎知識と、日本の金融政策の方針
インフレは「インフレーション(inflation)」という単語を略したものです。インフレーションは、モノの値段が継続的に上がり続ける状態のことを指します。ちなみに、英語の「inflation」には「膨張」という意味もあります。
インフレが発生するメカニズム
インフレはなぜ起こるのか、その仕組みを知っておきましょう。インフレは一般的に以下のような流れで加速していきます。
【インフレの循環】
景気がよくなる
↓
給与が上がる/収入が増える
↓
買い物への意欲がアップする
↓
消費が拡大し、需要が増える
↓
供給不足や「高くても買ってもらえる」ことから、モノの値段がアップ
↓
供給量を増やすべく、企業が設備や人への投資を加速
↓
仕事が増える
↓
景気がよくなる
↓
給与が上がる/収入が増える
↓
(以下、繰り返し)
インフレはこのように、基本的には景気の好循環が起きているときに発生します。収入が増え、消費が加速し、企業も個人もうまくいっている状態に見えますが、インフレが行き過ぎると物価が高くなりすぎて、日常生活に必要なものを買えない人が出てくることもあり、メリットばかりではありません。
デフレとインフレ
インフレとあわせて知っておきたいのが「デフレ(deflation:収縮)」です。
デフレの状況下では、給与が下がったり買い物する意欲がなくなったりして、需要が下がった結果、物価も下がっていくというインフレの真逆の現象が起こります。近年の日本は長らくデフレが続いていると言われてきました。
もうひとつ、スタグフレーションという言葉もあります。これは、景気が悪くなっていっているのに物価が上がっていくという、インフレとデフレがねじれたような状態を指します。
日本は「インフレ2%」を目指している
デフレやスタグフレーションにならず、それでいて過度なインフレにならないよう、世界各国の政府や中央銀行は、金融政策でコントロールを図っています。
日本は2023年10月現在、物価上昇率(インフレ率)「2%」が安定的に持続する経済・社会を目指しています。世界的なインフレの進行と新型コロナウイルスによる景気の落ち込みを防ぐための金融政策などにより、2023年の消費者物価指数は上り基調となり、前年比上昇率で目標の+2%を超えています。
インフレになるとどんな影響が出る?
インフレが発生すると、何がどう変わるのでしょうか。
生活への影響
モノの値段が上がるので、生活に必要なコストが上がります。そのぶん収入も上がっていればよいのですが、そうでない場合は生活が苦しくなってしまう可能性もあります。
お金の価値への影響
モノの値段が上がると、お金の価値が下がります。今まで「1つ100円」で買えていたものが「1つ120円」でしか買えなくなるということは、お金の価値が下がり、同じ金額でも手に入るものが少なくなっているということです。
金利への影響
インフレは金利にも影響します。インフレを発生させようとしているあいだ、金利を下げる政策が行われます。金利が下がればお金を借りたときの負担が減るので、企業が人や設備に投資しやすくなるからです。
インフレが行き過ぎたときには、金利を上げて資金調達をしにくくし、景気の過熱を防ぐ措置が取られます。
為替への影響
異なる通貨を交換するとき、片方のお金の価値が上がっていたら交換のレートにも影響します。たとえば日本がインフレになったら日本円の価値が下がるので、米ドルと交換するときにより多くの日本円が必要となります。
つまり、日本でインフレが起きると「円安」の状態になりやすいということです。円安が進むと、日本から海外に行ったり海外のものを輸入したりしにくくなりますが、海外から日本に人を呼び込むことや輸出はしやすくなります。為替が動けば、関連する企業の業績や株価にも影響を与えます。
インフレ時の投資戦略の考え方
インフレになるとお金の価値が下がり、金利や株価にも影響します。当然、投資にもおおいに関係があります。インフレに備えて、どのような投資戦略を練ってどう行動すればよいのでしょうか。
インフレに強い資産、弱い資産は?
投資商品にはさまざまな種類がありますが、そのなかには一般的に「インフレに強い」とされているものと、「インフレに弱い」とされているものがあります。
- インフレに強い資産:株式、投資信託、不動産、金など
- インフレに弱い資産:現金、預貯金、保険、債券など
インフレに強い資産と弱い資産の大きな違いは「将来受け取れる金額が約束されているかどうか」です。インフレではお金の価値が下がるので、同じ「10年後に100万円もらえる」という契約でも、物価が急激に上がってしまったあとでは相対的に価値が下がってしまいます。
株式投資をしている場合は、インフレが発生して経済活動が活発になり株価が上がれば、保有している株式の資産価値も上昇します。不動産や金は「現物資産」といい、所有しているモノそのものの価値があるため、お金の価値が下がっても影響を受けにくいとされています。
今後インフレが予測される局面では、インフレになってもそれに負けない価値上昇や維持ができる資産への投資が有効だと考えられます。
インフレとデフレのメリットは表裏一体
インフレの反対、デフレの場合はどうなるかも考えてみましょう。
モノの値段が下がり、お金の価値が上がった状態になると、先ほどと同じ「10年後に100万円もらえる」という契約の価値が高まります。インフレに強い資産はデフレに弱い、デフレに強い資産はインフレに弱いという傾向があり、メリットとデメリットは表裏一体になっているのです。
資産の組み合わせを考えよう
今後、経済状況がインフレになるのか、デフレになるのか。また、いつ、どの程度なるのか――。インフレもデフレもさまざまな要因が複雑に絡み合って発生するため、投資のプロや高性能なAIでも確実に予測するのは困難です。
では、投資に取り組むときはどうすればよいのでしょうか。その答えの1つが、「分散投資」です。分散投資とは、1つの資産や1つの銘柄に集中して一度にお金を投入するのではなく、いくつもの資産やいくつもの銘柄に複数回にわけて投資することを指します。
自分の資産が「インフレに強い資産」だけに集中していたら、デフレになったときにマイナスの影響を大きく受けてしまうかもしれませんし、その逆も同じです。インフレに強い資産にもデフレに強い資産にもバランスよく投資しておくことで、急にどちらかに傾いても問題ない状態をつくることができます。
予測が難しい世の中で投資初心者が成功するためには、分散投資でリスクを抑えながらコツコツと長期に渡って投資を継続していくことが王道だといえるでしょう。
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まとめ:経済用語を正しく理解して、投資戦略に活かそう
インフレが発生すると、モノの値段が上がり、お金の価値が下がります。また、物価だけでなく為替や株価などにも影響するため、普段の生活だけでなく、投資の面でも重要な意味を持っていることがわかりました。
日本は今、インフレに傾いています。もしインフレになっても困らないように、資産の組み合わせ方を考えるなどして対策しておくとよいでしょう。
資産運用に取り組んでいる方やこれからやってみたいと思っている方は特に、「インフレ」のようにニュースに出てくる「わかるようでわからないフレーズ」をそのままにしないようにしましょう。どんな影響が出るのか、どんな戦略を練って、どう行動すればよいのかを都度確認して準備しておくと、いざというときに的確な投資判断がしやすくなります。
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